NO.144 H19年11月7日号
 秋 田 県 の こ と を 少 々・・・

秋田っ子学力テスト好成績 早寝早起き、予習復習(秋田)

 早寝早起きで、予習復習は家でしっかり――。小6が全国トップ、中3も好成績を収めた全国学力テスト。家庭や教育関係者に驚きが広がったが、秋田っ子のこうしたまじめな生活習慣が好成績を生む背景にあるようだ。
 文部科学省は全国学力テストに併せて、生活習慣などについて小6は99問、中3は101問にわたる調査も行った。調査結果によると、東京都では小6児童の2人に1人、中3生徒の3人に2人が学習塾に通ったり家庭教師を雇ったりし、学校の授業よりも進んだ内容を学び、苦手分野を補っている。これに対し、県内の児童生徒で塾に通うなどしているのは、小6でわずか5人に1人、中3については3人に1人にとどまっている。塾通いの割合が低いことはテストで不利なように思われるが、調査結果からは、その分、家庭での予習復習で補っていることがうかがえる。「家で予習をしていますか」の問いに対し、「どちらかといえば」を含め「している」と答えたのは、小6で46・4%(全国平均32・9%)、中3は36・1%(同29・5%)。「家で復習をしていますか」との問いには、「どちらかといえば」を含め「している」と答えたのが、小6で74・5%(同40・1%)、中3で63・1%(同39・2%)と、いずれも全国平均を20ポイント以上引き離しており、家庭学習が定着している様子がうかがえる。中高生2人の子どもを持つ横手市内の公務員男性(46)は、「子どもに『勉強しろ』とうるさくは言わないが、毎日、自発的に予習復習をやっている。学校の熱心な指導があるのだと思う」と分析する。 また、規則正しい生活を送っていることも好成績の一因との見方も強い。小6の52・5%(全国平均42・1%)が午後10時前に眠り、91・1%(同74・5%)が午前7時前に起きている。中3も37・8%(同29・8%)が午後11時前に眠り、82・2%(同63・9%)が午前7時前に起床している。さらに、朝食を毎日食べているという割合も、県内の小6が96・8%(同95・2%)、中3で95・5%(同91・6%)となり、全国平均より高くなった。 文科省でも「朝食を毎日食べる児童生徒の方が正答率が高い傾向が見られる」と分析している。(2007年10月29日  読売新聞)

社説:全国学力テスト 冷静な分析こそ重要だ

 学年全員を対象とする悉皆(しっかい)調査としては43年ぶりとなった全国学力テストの結果が出た。小学6年、中学3年とも本県の平均正答率が、国語と算数・数学で全国トップクラスとなったことに、新鮮な驚きを受けた県民が多いだろう。教育関係者はもちろん、子供や保護者たちも大きな自信になることは間違いない。 ただし、今回の結果だけをとらえて一喜一憂することは避けなければならない。むしろ結果を冷静に分析し、今後に生かす努力こそ重要である。全国的にみると、基礎的知識の問題はいいが、それを応用できるかを試す活用力に課題を残す傾向を示した。この点は本県も同様だが、ありていに言えば「案の定」というのが率直な印象だ。「活用力の重視」を柱に進めている学習指導要領改定のお墨付きにしたいという、文部科学省のシナリオ通りの結果とみることもできる。 都道府県ごとの成績に大きなばらつきはなく、大都市とへき地との格差が縮小したのも特徴だ。学力低下批判が渦巻く中で、「総じて良好」という調査結果には、教育現場は胸を張っていい。気になるのは、就学援助を受けている子供が多い学校ほど正答率が低い傾向が出たことだ。即断は禁物だが、家庭の所得によって格差が生じているとしたら、看過できない問題である。分析を進め、省庁を超えての対策が求められる。トップクラスとなった本県は、小学6年が国語と数学の全4種類で全国1位だ。中学3年も、国語の1種類で1位となったのをはじめ、全4種類で3位以上。「予想外の好成績」(県央部の教師)という思いは、多くの教育関係者に共通したものだろう。原因は何か。県教委が強調するように、平成13年度から全国に先駆けて実施した少人数学習、翌14年度から悉皆調査の形で毎年行っている学習状況調査などが奏功したとする見方は、素直に受け止めたい。しかし、そればかりではないはずだ。この際、これまでの施策を一度総括するつもりで、きめの細かい多面的なアプローチが必要だ。本県が好成績を上げたことに冷水を浴びせるつもりはないが、この結果を手放しで喜べないことも指摘しておかなければならない。文科省が公表した都道府県別のデータは、あくまで私立を除いた公立だけのものであり、第一、このテストが示す学力は「特定の一部分」にすぎないからである。むしろ心配なのは、県内の教育現場から「来年へのプレッシャーだ」との声が早くも聞かれることだ。文科省は来年以降も学力テストを計画しており、来年順位を落とせば何を言われるか分からないという重圧だ。そんな気持ちで子供を指導するとすれば、それこそ本末転倒である。今後、学校や市町村の序列化を招き、競争を過度にあおる懸念も払拭(ふっしょく)できないさらに言えば、77億円も要する悉皆調査が今後も必要か。抽出調査を含め、テストの在り方を見直す議論も必要だ。(2007/10/26 09:02 更新)