NO.145 H19年11月7日号
 全国学力テスト分析結果・・・

宿題多い小学生・中学生が正答率

 全国学力テストの結果が、実施対象の小6、中3いずれも全国45番目となった大阪府が、全国の大都市圏と府のデータの比較作業に着手したことが2日、分かった。受験情報や塾が充実した大都市圏にありながら学力が低迷している問題について、本格的な対策に乗り出した格好だ。同テストで行われた生活実態調査の都市部7都県の平均値を府教委が独自に集計、府の値と比較したところ、大阪の子供は学習意欲などが大きく下回っていることが判明。4日には、小中学校長らを集めた研修会でこの結果を報告し、学力アップに向けた授業改善を呼びかける。
 全国学力テストの公立校の平均正答率が低かった都道府県は、大阪府を除けば、北海道(小学校46番目、中学校44番目)、高知県(37番目、46番目)、沖縄県(いずれも47番目)などの地方に集中。一方で、都市部を擁する東京都(7番目、30番目)や愛知県(22番目、9番目)はおおむね好成績だった。

 大都市圏では異例ともいえる結果を重くみた大阪府教委は、児童、生徒の生活実態調査の設問のうち、学習の状況や意欲にかかわる18問に着目。東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、兵庫、福岡の7都県の平均値を算出し、大阪と比較した。集計結果によると、「学校に持っていくものを確かめている」と答えた7都県の小学生は、大阪府の58.3%に対し63.9%、中学生は同56.5%に対し63.9%。「読書が好き」は小学生45.6%(大阪府41.6%)、中学生43.7%(同33.6%)、「算数・数学の授業で学んだ内容を生活の中で活用しようと考えている」は小学生29.7%(同25.4%)、中学生10%(同7.9%)と軒並み大阪より高かった。

 生活習慣の面でも、「朝食を毎日食べている」が小学生86.1%(同81.3%)、中学生79.1%(同73.1%)と7都県平均が大きく上回ったほか、大阪の子供は起床、就寝の時刻が遅い傾向にあることも明らかになった。
また、中学生の平日1日の勉強時間は3時間以上が11.1%(同15.7%)、「まったくしない」が9.4%(同11.6%)となり、大阪では学習時間が二極化している現状が浮き彫りにされた。

 集計資料は、全国学力テストの結果を生かすために都道府県教委が設置している有識者らの組織「検証改善委員会」にも提供。大阪府の改善委は、こうした傾向がみられた背景の分析や7都県との比較をさらに進め、年度内に「学校改善支援プラン」を策定する。

 これに並行して府教委も、教育効果をあげている学校の実践例などをもとにした授業改善のガイドラインをまとめ、各校の学力向上策の参考にしてもらう方針だ。

 府教委小中学校課の藤村裕爾課長は「似た環境にある都県と比べても課題があることが示された。検証改善委に詳細な分析をお願いするとともに、データを市町村の教育長、担当者にも周知し、共通認識に立って学力の向上を図りたい」と話している。H19-12-02


大阪府では・・・・・こんな分析
■大阪府
 
大阪府は小中学校各教科で、全国平均を下回り、沖縄県や高知県などとともに最下位グループに入ってしまいました。小学校の国語では「話す・聞く能力」を試す問題で基礎知識の正答率が48・4%で低い正解率。中学校の国語では「書く能力」を試す問題で基礎知識65%で応用は57%にとどまった。小中学生ともに、算数・数学は、「記述式」の正答率が約4割と平均よ下。

大阪府教育委員会は11月27日、全国学力テストと同時実施された小中学生の生活実態調査を独自分析し、結果を発表しました。

 分析方法は、大阪府と同様に大都市部を持つ7都県の平均値と大阪府の値を、項目ごとに比較する方法でおこなっています。大阪府の分析によると、「読書しない」と回答した子どもが平均値より高い、「朝食を毎日とっている」と回答した子どもが平均値より低い、「熱意を持って勉強している」と回答した子どもが平均値より低い、などといった結果が出ているということです。

 しかし平均値の大小といっても、よく見ると数ポイントの差に過ぎない項目も多くあります。また意識調査の設問の中には、「熱意を持って勉強している」「授業中の私語が少なく落ち着いている」など回答者の主観に頼らざるを得ない内容もあり、平均数値の大小は一種の参考資料に過ぎないのではないかと言えます。

 平均値の数字を過剰に根拠化して、平均値を上げるような「対策」がすすめられることが危惧されます。しかし数字だけに振り回されることなく、「一人一人の子どもの実情を把握し、一人一人にあった対策を立てる」ということが重要です。