細田レポート(鳥取県教育委員会への公開質問状)

質 問

鳥取県教育委員会への公開質問状
 先般、貴教育委員会の関係者(名刺もくれないので名前が分からない)と面談の機会を賜り、鳥取県の教育行政についての意見交換を行なった時、貴教育委員会の発行物である「高校生が韓国について理解を深めるための資料集・出会い ふれあい 韓国の旅」を戴き、拝読致しましたが、数箇所理解出来ない所がありましたので、公開質問状として申入れをさせて戴きます。

[質問一]
 三十三頁に「そして、一九一〇年には『韓国併合ニ関スル条約』(韓国併合条約)が調印されて統治権も日本が握り、総監府にかわって朝鮮総督府が設けられました。こうして一九四五年の日本の敗戦までのまる三十五年にわたる植民地支配が始まったのです。」と記載されておりますが、最初に記載されている通り、国際的にも合法的に我が国は韓国と併合したのである、しかし最後には、植民地支配が始まったと記載されております、何故併合が植民地支配という表現に変わったのか、所見を求める。

[質問二]
  三十四頁に「彼は、韓国の人々にとっては忘れられない英雄の一人です。」と言った伊藤博文を暗殺した殺人者である安重根を必要以上に評価されておりますが、貴教育委員会は殺人者を英雄扱いするテロ推進組織だと認識していいのでしょうか、所見を求める。

[質問三]
 四十七頁に「あの不幸な侵略戦争の後に、どうしてこのような関係を作ることができるのでしょうか。」と記載されておりますが、「あの不幸な侵略戦争」とは何処の国が何処の国に侵略戦争を行い、どの様にして侵略戦争が終結したのでしょうか、所見を求める。

[質問四]
 五十頁に「日本には戦後五十年たった今もなお、約六十六万人の在日韓国・朝鮮人(韓国では在日同胞といいます)が住んでいます。これらの人達は日露戦争以降、日本によって土地を奪われた農民で、働く場を求めて日本へ渡らざるをえなくなった人や、第二次世界大戦末期に、徴兵された日本人男性の代わりとして日本国内の労働力不足を補うために、始めは「募集」、次いで「斡旋」、最後には「徴用」という名目でほぼ強制的に連行された人たちです。」と記載されておりますが、「約六十六万人の在日韓国・朝鮮人・・・(省略)はほぼ強制的に連行された人たちです。」と断定されておりますが、その強制的に連行されたと断定出来る根拠を教えて戴きたい。
 又、「これらの人達は日露戦争以降、日本によって土地を奪われた農民で、働く場を求めて日本へ渡らざるをえなくなった人たち」と断定されておりますが、然らばこれらの農民は何処の土地をどの様にして日本に奪われたのか、その奪われた土地は戦後どの様になったのか、証拠資料によって詳しく説明を求める。

[質問五]
 五十二頁に「日本に残った人々は、日本で生活する上で様々な差別に苦しめられました。税金は納めなければならないのに、社会保障制度の対象にはなりませんでした。参政権もありません。定住する外国人として指紋押捺を義務付けられました。学校ではかなりの人が本名ではなく、日本名を用いています。偏見やいじめを受けることを危惧してのことです。このような問題はなお多くがそのまま解決されずに残っています。私たちにとって解決すべき大切な問題だといえます。」と掲載されておりますが、この中に幾つか疑問点が御座いますので、項目に分けて質問致します。
@ 日本で生活していく上で、税金を納めるのは当然の事である、然らば税金を納めなくても生活出来る国を教えて戴きたい。
A 我が国の憲法には、外国人の参政権は認めておりません、日本国民に参政権を認めているのであり、例え税金を納めようと参政権付与とは何の関係もありません、ならば税金を納めている企業や未成年者にも参政権を付与しなければなりません、日本国憲法を違反してまで参政権を付与せよといいたいのでしょうか、所見を求める。
B 「学校ではかなりの人が本名ではなく、日本名を用いています。」との記載について、かなりの人とは具体的に何人なのか、其れをどの様にして確認したのか根拠を求める。
C 「偏見やいじめを受けることを危惧してのことです。このような問題はなお多くがそのまま解決されずに残っています。」との掲載について、具体的に誰が誰に、どの様な偏見やいじめを受けたのか、又、このような問題が解決されずに何処に残っているのか、具体的に説明を求める。
D 「私たちにとって解決すべき大切な問題だといえます。」との掲載について、私たちとは誰の事なのか、又、どの様にしたら解決出来るのか、所見を求める。

[質問六]
 五十三頁に「こうして、日本が味わうはずだったかもしれない民族分断の悲劇と苦痛を、代わって朝鮮半島=韓国では韓半島=の人々が強いられることになりました。」と掲載されておりますが、何故日本の代わりに韓国が民族分断の悲劇と苦痛を強いられる事になったのか、具体的に説明を求める。

[質問七]
 この資料を見る限り、日韓併合を植民地支配と位置づけ、恰も韓国が被害者的に作成されておりますが、日韓併合によって、我が国が莫大な予算を投入して行った、学校、病院、水力発電所の建設、道路の整備等といった事業が、全く触れていない。
 日韓併合なくして今日の韓国はありえないとまで主張する韓国人自らの著者も多く発行されております、これらの事について何故記述されていないのか、所見を求める。

[質問八]
 昭和二十九年十月二十八日、韓国が『竹島』を不法占拠し、灯台と無電台を建設した上、武装警察官十二名を常駐配備し現在も尚、武力を持って不法占拠を続けております。
この行為は、正しく国際法を無視した侵略行為であります。
 平成十七年三月十六日、島根県議会が「竹島の日」条例を可決し、我が国固有の領土『竹島』の奪還を目指し、国民一丸とならなければならない時に、この鳥取県教育委員会の資料に『竹島』の事が全く記述されておりません。
 この領土問題を棚上げにして、韓国を理解する事は出来ないはずである、貴教育委員会は、この「高校生が韓国について理解を深めるための資料集」に竹島問題を何故記述しないのか、所見を求める。
以上

 尚、回答は二週間以内にメール又は、返信用の切手を同封しておりますので、書面にて郵送して頂きますよう御願い致します。

皇紀二千六百六十六年 平成十八年 水無月 十二日

日本民族行動会議
議長細田政一



鳥取県教育委員会教育長殿
鳥取県教育委員会からの回答
第二〇〇六〇〇〇三二一〇八号
平成十八年六月二十三日
日本民族行動会議議長 殿

鳥取県教育委員会事務局高等学校課長




回 答

公開質問状について(回答)
 平成十八年六月十二日付けであった公開質問状については、教育長に報告した結果、別添のとおり回答します。

[担当]             
鳥取県教育委員会事務局高等学校課
(電話)〇八五七‐二六‐七五一五

別添
[作成の目的]
 本県では、高等学校における国際理解と国際交流を推進しており、冊子「出会い ふれあい 韓国への旅」は、高校生が外国の生活、文化等を理解するための補助資料の一つとして、複数の検定済の教科書の記述を踏まえて鳥取県教育委員会が作成したものです。

[質問一への回答]
 日韓併合を日本による植民地支配が始まったと記載していることについて
(教科書の記述)
「韓国併合条約を強要して韓国を植民地化し(韓国併合)」詳説日本史B(山川出版社)
「韓国併合に関する条約を結んで韓国を日本に併合し、朝鮮総督府を設置して、武力を背景とした植民地支配をおしすすめた」新選日本史B(東京書籍)
「日本は韓国併合条約を強要して、韓国を日本の植民地とし」高等学校日本史A(第一学習社)

[質問二への回答]
 韓国では安重根は教科書で取り上げられるなど、義士(国のために殉じた人)として知られており、そのことを認識しておくことは、韓国の人々と交流を進めるうえで必要なことと考えて記載したものであり、安重根を英雄扱いする意図はありません。

[質問三への回答]
 「不幸な侵略戦争」とは文禄・慶長の役を指しております。それを日本の朝鮮に対する侵略行為ととらえることについて
(教科書の記述)
 「前後七年におよぶ日本軍の朝鮮侵略は、朝鮮の人びとを戦火にまき込み、多くの被害をあたえた」詳説日本史B(山川出版社)
 「二度の侵略は、朝鮮に多くの犠牲者をだし、国土を荒廃させた」新選日本史B(東京書籍)
 「朝鮮侵略をおこない、朝鮮の人々に多大の被害を与えた」高等学校日本史A(第一学習社)

[質問四への回答]
 「強制連行」、「日本によって土地を奪われた農民」について
(「強制連行」についての教科書の記述)
 「数十万人の朝鮮人や占領地域の数万人の中国人を日本本土などに強制連行し、鉱山や土木工事現場などで働かせた」詳説日本史B(山川出版社)
 「朝鮮や台湾から国民徴用令によって、さらに中国の占領地からも、多くの人々が労働力として日本に連行された」新選日本史B(東京書籍)
 「多数の朝鮮人を強制連行した」高等学校日本史A(第一学習社)
(「日本によって土地を奪われた農民」についての教科書の記述)
 「地税賦課の基礎となる土地の測量・所有権の認識を朝鮮全土で実施したが(土地調査事業)、その際に所有権の不明確などを理由に広大な農地・山林が接収され」「これによって多くの朝鮮農民が土地をうばわれて困窮し、一部の人びとは職を求めて日本に移住するようになった」詳説日本史B(山川出版社)
 「土地調査事業などをおこない、所有権が不明確なことや届出がないことを理由に、田畑や山林を官有地とした。土地を失った朝鮮人は小作人となったり、職を求めて日本や満洲に流出したりした」新選日本史B(東京書籍)
 「土地調査事業を開始し、土地の所有権が認識できないとして朝鮮の農民から土地を奪った」高等学校日本史A(第一学習社)

[質問五への回答]
@Aについて
 御指摘のとおり、現行の制度としては、納税の義務に対して社会保障や参政権が保障されているわけではないことを述べたものです。
BCについて
 学校では日本名を用いている生徒は多く、民族にかかわる差別事象の報告もあります。
Dについて
 学校教育において、人権を尊重し、差別や偏見をなくすことが大切だという考えを述べたものです。
(教科書の記述)
 「しかし、現実には・・・在日外国人(とりわけ韓国・朝鮮人、アジア系外国人労働者)などへの差別問題が生じている」「在日韓国・生徒への暴行暴言事件・就職差別や本名を名のれない現実がある」高等学校政治・経済(数研出版)
 「しかし、本名を名乗っている人は少なく、進学や就職、結婚などの時に差別を感じている人も多い。また、参政権がないことや公務員資格の制限などについても、改善すべきだという声も大きい」地理B(教育出版)

[質問六への回答]
 朝鮮半島では、今もなお民族が分断されており、当時、日本にも分割統治の可能性があったことを記述したものです。しかし、御指摘のとおり、「代わって」という表現は適切ではなかったと考えますので、今後、機会をとらえて学校にもその旨を伝えたいと考えております。
(教科書の記述)
 「朝鮮でも独立への動きが高まったが、日本の降伏とともに、北緯三十八度線を境にして北はソ連軍、南はアメリカ軍によって分割占領され軍政がしかれたため、統一的な独立を果たせなかった」詳説日本史B(山川出版社)
 「朝鮮半島では、アメリカとソ連によって分割占領されていたことから、一九四八年、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とに、分離独立することになった」新選日本史B(東京書籍)
 「朝鮮半島が北緯38度線を境に、南はアメリカ軍、北はソ連軍の統治下におかれたが、一九四八年に、南に大韓民国(韓国)、北に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と分かれて独立した」高等学校日本史A(第一学習社)

[質問七への回答]
 日本が学校、病院、水力発電所、道路等を整備したことは事実ですが、これらは、日本の植民地経営の一環としてなされたものと考えられることから記載していません。

[質問八への回答]
 本冊子の編集当時、日本と韓国の間で竹島問題は今日ほど表面化しておらず、特に取り上げておりません。

* 平成十八年四月に、韓国への海外研修旅行を実施している高等学校の教頭及び旅行担当者に対し、旅行の実施にあたっては竹島問題に関する日本の立場(外務省見解)を踏まえて生徒に事前指導等を行うよう指示したところです。