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R3-2-24 孔子廟裁判最高裁違憲判決 | |||
我々が7年間戦ってきた、那覇市孔子廟違憲住民訴訟が、令和3年2月24日、終結した。 最高裁大法廷の判決は、原告、金城テルさんの完全勝利だった。 残念かなテルさんはコロナ過、上京がままならない。徳永、上原両弁護士、支援する会東京で万歳をさせていただいた。 判決主文 1 参加人の上告を棄却する。 2 原判決中第1審原告敗訴部分を破棄する。 3 前項の部分につき,第1審被告の控訴を却下し,参 加人の控訴を棄却する。 4 控訴費用及び上告費用は第1審被告の負担とする。 要点 1 一般人から見て、特別提供と評価されても仕方がない 2 宗教的活動になる 3 全額を請求しないのは違法である。 金城テル氏の最高裁陳述書(R3-1-20) 1 自己紹介 私は、今年の3月で93歳になります。平成26年に提起したときからこの裁判を戦って参りました。私は、那覇市民として沖縄県民として、そして日本国民の1人として久米至聖廟(孔子廟)に対して感じていることを率直に申し上げたいと思います。 2 釋奠祭礼をみたとき「これは宗教だ」と強く感じたこと 私がはじめて釋奠祭禮のことを知ったのは、久米崇聖会がホームページにあげている動画をみたときのことでした。黒い礼服を着た司祭たちが出てくると、「至聖門」が開かれ、そこから中に入ってこられる孔子様の御霊(みたま)をお迎えし、お線香をあげ、お蝋燭をともし、お供物をささげ、お像の前で中国式の独特の礼法を繰り返し、やがて提灯をもって孔子様の御霊をお送りし、「至誠門」を閉め、提灯の灯を消して終わるのです。見終わったとき「これは宗教だ」と直感しました。平成26年9月、実際の釋奠祭禮をこの目でみましたが、その思いはますます強くなりました。エイサーやハーリーと同じ沖縄の習俗だという意見がありますが、それは間違っています。釋奠祭禮は、長い間、久米三十六姓(クニンダンチュ)の儀式として伝えられてきたものであって、沖縄の一般市民にとっては全くなじみのないものでした。 3 神職による遷座御願の宗教性について 久米至聖廟(孔子廟)の移設に伴って行なわれた遷座御願(せんざうがん)の動画も久米崇聖会のホームページでみました。神職による拝みを映した動画でした。それがユタなのかノロなのかは分かりませんが、神霊的な力を持つ霊媒師による拝みや占いは、今でも沖縄ではよくみられます。そして、そのこともまた、私の「これは宗教だ」という思いを強くしたのでした。 4 久米至聖廟前に座り込んで礼拝する方々の姿について 久米至聖廟の前では、御座や座布団を敷いて座りこんで、一心不乱に祈りを捧げる方々をよくみかけます。中国や台湾の方々のようですが、その熱心な礼拝から、久米孔子廟に関わる儒教の信者さんたちに間違いないように思えます。 5 「学業成就」の御札の販売について 今はもうなくなりましたが、以前には、「学業成就」の御札が販売されていました。ありがたい「灰」が封入され、御利益があるというふれこみでした。これは、そのことをありがたく思う信者が多数いるという証拠です。 6 感想 私が釋奠祭禮や久米孔子廟を宗教だと感じている理由の概略は以上のとおりです。菅原道真を祀る天満宮とどこが違うのでしょうか。こうした施設を公園に設置し、使用料を全額免除することが、特定の宗教に対する援助になるのはあたりまえのことです。多くの那覇市民、沖縄県民、日本国民は私と同じように感じるはずです。 最高裁判所の裁判官におかれましては、「一般人の評価」を量る上で、今、私が申し上げましたことも充分にご配慮いただきますよう心からお願いします。 判決全文 徳永弁護士の解説 各位からの声 東京 空花正人 全面勝訴! 勝利を確信してこしらえたプラカードが陽の目をみました。 1月20日の弁論において、被告那覇市と久米崇聖会は、件の施設(孔子廟)は那覇市の都市環境整備の一環であり、観光資源であって、宗教施設ではないし、久米崇聖会は宗教団体ではない、と主張しました。 一方原告側は、徳永弁護士が、儒教自体の宗教性を真っ先に指摘し、久米至聖廟での祭礼は宗教行為そのものであること、久米崇聖会は紛れもない宗教団体であることを明らかにしました。 最高裁確定判決は、原告金城テルさんの完勝です。原告側主張を全面的に認めました。2審高裁判決の不当も指摘して、これを破棄しました。 那覇市が渡来人(久米三十六姓)の祖霊崇拝行事を行うために那覇市をたぶらかして造った孔子廟(久米至聖廟)に対し、土地使用料を免除したことは違法違憲であると断罪したのです。 儒教を学問として教える湯島聖堂や文化財として名高い足利学校などとは全く性格の異なる、見せかけの孔子廟、つまり孔子廟という名を冠している久米至聖廟はまさに偽装なのです。 これを那覇市は文化的観光資源であると強弁しましたが、地元沖縄の人にとっては無関係どころか全く私的いや排他的に行われる祖先崇拝行事に加担する那覇市の姿勢が、完膚なきまでに暴かれました。 社会通念に照らしてみても、この那覇市の「孔子廟」は違憲そのものなのです。 まあ、私の予感では、左翼陣営(東大憲法学、法学界)はこの判例を無視にかかり、矮小化したりするでしょう。 これまでの政教分離論争は、左翼が神社・神道に対する攻撃の一環で仕掛けられてきたからです。 しかし、本件は他文化共生の在り方へも一石を投じる大変面白い流れです。まじめに議論していくべき課題が含まれています。 宗教性と公共性をいかに調和していくか、神社参拝のグレーゾーンがもう少し広がれば、日本人の感覚に沿うようになるでしょう。 本裁判は二次訴訟として、久米至聖廟そのものの撤去を求めていきます。 那覇市(翁長市長時代)に建設された「龍柱」も含め、知らず知らずに西の大国からの影響工作が懸念される時代において、それを排除していくことがますます大事なことになっています。 京都北山神主 中村重行 儒教の祖、孔子を祭る「孔子廟(びょう)」を設けるため、那覇市が公園内の敷地を無償で提供していることが憲法の「政教分離の原則」に違反するかが争われた住民訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、違憲と判断した。那覇の孔子廟は宗教性が軽微とはいえず、無償提供は特定の宗教に便宜を提供していると評価されてもやむを得ないと認定した。 政教分離に関し最高裁が違憲と判断したのは3例目。差し戻し後の1、2審判決はいずれも無償提供を違憲と指摘していた。 最高裁は平成22年、違憲と判断した空知太(そらちぶと)神社訴訟の判決で、宗教的施設に公有地を無償提供する是非について「施設の性格や無償提供の経過と態様、一般人の評価などを考慮し、社会通念に照らし判断すべきだ」との判断枠組みを示していた。<産経ニュースより戦後政教分離を盾に神社神道を攻め続けてきた左翼、外国勢力がブーメランを食らった図ですが、私自身は宗教に関しては硬いことを言わず、お互いに認め合って暮らしてゆくべきだと思っています。 政教分離などという法律は戦後アメリカが神道を封じるためにこじつけたもので極端でない限り大目に見ていっても差し障りの無いものだと思っています。 この裁判に携わっていただいた徳永弁護士他の多くの人たちに感謝、感謝また感謝。 良かった、良かった。 ご苦労さんでした。 狼魔人日記 江崎 孝 「孔子廟訴訟」で最高裁が那覇市に違憲の判断を下し、那覇市が全面敗訴した。 故翁長県知事の子分である城間那覇市長は「判決として違憲と出たが、私としては多少違和感」と述べ、 市長は判決内容を精査し今後の対応を決めるという。 最高裁で全面敗訴なら、那覇市長として判決に従うのが当然だろう。 最高裁判決を無視して「辺野古阻止」を続ける翁長氏に見習って、城間市長も最高裁を無視するつもりか。 そもそも本訴訟は翁長氏が那覇市長当時に提訴され、事実上は全面敗訴の当時者は翁長県知事であり、翁長那覇市長が孔子廟を私有地に無料で誘致した。つまり孔子廟の無償誘致は翁長前那覇市長の負の遺産である。そして翁長氏を支援したのが「オール沖縄」である。 「オール沖縄」を全面的に支援した沖縄タイムスは、那覇市の全面敗訴で悔し涙の大洪水。 きょうの沖縄タイムスは合計5面を使って大発狂である。 雑 談 【ブルーリボンについて】 大阪地方裁判所、堺支部で傍聴人がブルーリボンをつけていることを理由に、同裁判所は傍聴を拒否して きました。詳細は、https://www.sankei.com/affairs/news/210127/afr2101270025-n1.html そこで我々は一足先に最高裁の判決をいただきました!? 今回の最高裁の24日の沖縄孔子廟裁判の判決には増木、空花、山下、飯田、小松ら総勢20名が、、 また先月1月24日の口頭弁論には増木、飯田、小松、島谷4人がブルーリボンをつけて裁判を傍聴しました。 ボデイチエック3回、物々しい警戒でしたが、もちろん何も言われませんでした。 最高裁が何も言わないのに、下々の裁判所がガタガタ言うな! と、言いたいですね。 【クオータ制について】 男女共同参画、老若共同参画 最高裁大法廷は15人の裁判官が並びます。24日は一人欠席で14人でした。そして女性は2人。 左傾連中から、これは男女共同参画に反する。クオータ制を採用しろ。また、ほとんどの裁判官が 70歳前後。老若共同参画を実施しろ。などと声を挙げてくるのが時間の問題のような気がします。 私思うんです。最高裁は日本におけるすべての善悪の判断。言葉の定義が行われるところ。壇上に並ぶ14名の 裁判官を見て、私はそれだけで安堵感を覚えました。ほかの人はどうだったでしょうか。 東京 空花正人 全 |
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原告 金城照子 | 最高裁正門前 | ||
報告集会似て | 記者会見 | ||
各マスコミ報道
「完全勝訴」に感激 孔子廟違憲判決で原告側―政教分離訴訟
2021年02月24日20時56分 時事通信
儒教の祖を祭る「孔子廟」をめぐる政教分離訴訟で、那覇市による公園敷地の無償提供を違憲とする最高裁判決が出た24日、原告の住民や代理人弁護士からは「感激している」「完全勝訴だ」と喜びの声が上がった。
原告住民の金城照子さん(92)は那覇市内で記者会見。勝訴の一報を受けた際は「うれし涙というか、感激の涙がこぼれた」と振り返り、「市には政教分離をしっかりわきまえて、きれいに解決してほしい」と求めた。
東京都内で記者会見した原告側代理人の徳永信一弁護士は「行政が異文化の価値観や宗教とどう関わるべきか、一つの道しるべになった判決」と評価。那覇地裁では孔子廟の撤去などを求める住民訴訟が係争中で、「敷地使用料を払えば違憲ではないのか、撤去が必要なのか。政教分離原則の基準を明らかにしたい」と意気込んだ。
原告側の岩原義則弁護士も「完全勝訴だ。反対意見もあったが、歴史に残る判決と思う」と歓迎。上原千可子弁護士は「市は判決を重く受け止めて、行政の是正を図っていただきたい」と述べた。
孔子廟の政教分離訴訟 那覇市の地代免除は「違憲」 最高裁判断
2021/2/24 15:08(最終更新 2/24 16:08) 236文字 毎日新聞
那覇市の公園内に設置された儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」の土地使用料を市が全額免除していることが、憲法が定める政教分離の原則に違反するかが争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、憲法違反と判断した。
政教分離訴訟で、最高裁が違憲判断を示したのは、愛媛県が神社に玉串料を支払った「愛媛玉串料訴訟」(1997年判決)、北海道砂川市が神社に市有地を無償提供した「空知太神社訴訟」(2010年判決)に続き、3例目。【近松仁太郎】
那覇市の土地提供は「違憲」 最高裁大法廷、孔子廟訴訟
2021年2月24日 15:08 (2021年2月24日 21:29更新) 日経
那覇市が管理する公園内に建つ孔子廟=同市提供
儒教の祖・孔子をまつる「孔子廟(びょう)」のために、那覇市が土地を無償で使わせていることが憲法の「政教分離原則」に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、使用料免除は憲法20条3項が禁じる自治体の「宗教的活動」に当たるとして違憲との判断を示した。
政教分離を巡り最高裁が違憲判断を示したのは
礼は宗教的意義を持ち、祭礼を行う目的で施設の建物が配置されていると指摘。儒教が宗教かどうか「愛媛玉串料訴訟」大法廷判決(1997年)、「空知太神社訴訟」大法廷判決(2010年)に続く3例目。
問題となったのは那覇市の「久米至聖廟(くめしせいびょう)」と呼ばれる孔子廟。約600年前以降に中国から渡来し、琉球王国を支えた「久米三十六姓」の子孫が関係する一般社団法人が2013年、市が管理する公園内に建てた。一般社団法人の申請に基づき、市は歴史・文化を伝える「体験学習施設」に該当するとして月約48万円の土地の使用料を免除。原告の住民側が免除の違法確認を求める訴えを起こし、一、二審は違憲と判断していた。
大法廷は、空知太神社訴訟の判断枠組みに沿って「施設の性格、免除の経緯や態様、一般人の評価などを考慮し、社会通念に照らして総合的に判断する」との立場で憲法適合性を検討した。
本殿に当たる部分に孔子像があり、多くの人が家族繁栄などを祈る様子は「社寺との類似性がある」と指摘。供物を並べて孔子の霊を迎える年1回の祭礼は「宗教的意義がある儀式だ」とし「施設の宗教性を肯定でき、程度も軽微ではない」と述べた。
第2次世界大戦で焼失した前身施設とは違う場所に再建した経緯などから「観光資源としての意義、歴史的価値で無償提供の必要性、合理性は裏付けられない」とも言及した。儒教自体が宗教といえるかは判断を避けた。
市の裁量を理由に徴収すべき額を示さなかった二審の判断は採用せず、一審と同様に「使用料全額を請求しないことは違法だ」との判断も併せて示した。
裁判官15人中14人の多数意見。2月7日付で退官した林景一裁判官(行政官出身)は反対意見を表明し「参拝者の大半は観光客の可能性が高いなど、施設は宗教性がないか既に希薄化したと考えられる」と指摘。「宗教組織・団体の存在を認定できずに政教分離規定に違反するとの判断は、規定の外縁を曖昧な形で過度に広げている」とした。
那覇市の城間幹子市長は「判決文を読み込んだ上で、市として適切に対応したい」とコメントした。
孔子廟の土地使用料免除は違憲 政教分離訴訟で最高裁
2021年2月24日 20時25分 朝日
中国の思想家で儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」がある敷地の使用料を那覇市が徴収しなかったことの是非が争われた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、「特定の宗教を援助したと評価されてもやむを得ない」とし、無償で公有地を使わせるのは政教分離を定めた憲法に反するとの判決を出した。裁判官15人のうち14人の多数意見。林景一氏は「合憲」とする反対意見を付けた。
戦前の反省を受け、国や自治体は宗教と結びついてはならないとする政教分離をめぐり、大法廷が違憲判決を出したのは3件目。これまで神社との関わりが問題になったが、儒教施設に関する判断は初めて。
裁判の対象になったのは、那覇市の松山公園にある「久米至聖(くめしせい)廟」。1335平方メートルの敷地に、孔子像を置く建物や儒学と沖縄の歴史を学べる施設などがある。一般社団法人「久米崇聖(そうせい)会」が2013年に建て、市が公益性を認めて敷地の使用料(年576万円)を免除したため、市民運動家の女性が政教分離に反すると市を訴えた。
大法廷は、孔子の霊を迎える年に1度の祭には言及せず、崇聖会が「祭礼の観光化」を拒む姿勢を示す閉鎖性や免除額の大きさを踏まえ、市が使用料を免除したのは「宗教的活動」に当たると判断した。
その上で使用料については、市に決めさせるべきだとした二審・福岡高裁那覇支部判決を破棄。「市に裁量はない」とし、全額を徴収すべきだとした一審・那覇地裁判決を確定させた。
訴訟をめぐっては、18年の那覇地裁判決、19年の福岡高裁那覇支部判決も違憲と判断。高裁が徴収額を示さなかったため、女性と市の双方が上告していた。
この日の判決は、今年2月に最高裁判事に就任した長嶺安政氏が審理に加わらず、前任の林景一氏が判断した。
那覇市の城間幹子市長は「判決文を読んで市として改善すべき点を検討して対応したい」とした。(阿部峻介)
「孔子廟」那覇市の土地無償提供は「違憲」 最高裁が判断 政教分離訴訟
2021年2月24日 15:28 琉球新報
那覇市の松山公園内にある久米至聖廟(孔子廟)
儒教の祖、孔子を祭る「久米至聖廟(孔子廟)」のため、那覇市が松山公園内の土地を無償提供していることが憲法の政教分離原則に違反するかが争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、無償提供を違憲と判断した。
政教分離は、国や自治体に宗教的中立であることを求めるもの。差し戻し後の一、二審判決は、いずれも孔子廟を宗教的な施設と認定し、那覇市による無償提供を違憲と判断していた。
住民側は孔子廟で行われる「釋奠祭禮(せきてんさいれい)」が宗教的意義を持つと主張。「学術的見地からも一般人の感覚からも宗教的施設。特定の宗教に対する援助や助長にあたる」とし、無償提供は政教分離の原則に違反するとしていた。
一方、那覇市側は「沖縄の歴史や文化を伝える教養施設で、宗教的意義はない」と反論した。施設が観光資源としても重要な役割を果たしているとし「使用料免除は公共的な目的があり、宗教への援助や助長にはならない」としていた
土地の無償提供は「違憲」 那覇市が全面敗訴 久米至聖廟巡り最高裁
2021年2月25日 06:50 沖縄タイムズ
沖縄県那覇市管理の松山公園にある儒教施設の久米至聖廟(くめしせいびょう)(孔子廟)に市が土地を無償提供しているのは憲法の定める政教分離に違反するかが問われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、無償提供は違憲と認定した。土地使用料は減額できるとした二審判決を一部破棄し、市に全額請求するよう求めた。住民側の完全勝訴となり、政教分離に違反した市の説明責任が問われる。
政教分離を巡る最高裁の違憲判断は、愛媛県が神社に玉串料を支払った1997年の「愛媛玉串料訴訟」、北海道砂川市が神社に市有地を無償提供した2010年の「空知太(そらちぶと)神社訴訟」に続き3例目。住民側は久米至聖廟の撤去や土地の明け渡しなどを求める別訴訟も那覇地裁に起こしており、今後の審理に影響を与える可能性もある。
判決では、同施設の観光資源としての意義や歴史的価値をもって無償提供する合理性はないと指摘。「市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ない」と判断した。年約570万円の使用料相当額を免除された久米崇聖会の利益は「相当に大きい」とした。
裁判官15人のうち14人の多数意見。1人は同施設について「宗教性がないか希薄化している」とし、違憲判断は「政教分離規定を曖昧な形で過度に拡張するもの」と反対意見を述べた。
判決を受け、原告で「住みよい那覇市をつくる会」の金城テル代表(92)は那覇市内で会見し「市は判決を受け止め、政教分離の問題を解決してほしい」と要望。那覇市の城間幹子市長は「判決内容を精査し、改善点を検討したい」と述べるにとどめた。
一審那覇地裁は18年4月、政教分離に反して違憲と認定、市は全額徴収する義務があるとしたが、二審福岡高裁那覇支部は使用料は市の裁量で減額できると変更していた。
[ことば]孔子廟(こうしびょう) 中国・春秋時代の思想家で、儒教の祖となった孔子を祭る建物。孔子の死後、山東省・曲阜にあった旧居を廟に改築したのが始まりで、中国各地やアジアに広がった。曲阜の孔子廟は、孔子の墓所などと共に世界文化遺産に登録されている。日本では古代から教育機関に設けられ、江戸時代に儒教から発展した「朱子学」が幕府公認の官学になってからは、各地の藩校にも数多く建設された。