第158号 皇紀二千六百六十七年(平成19年) 如月(2月) TOPへ戻る |
対日包囲網の脆弱性 ー多人種、他民族国家と単一民族国家の歴史的必然性ー 中山 嶺雄 (「ロシア・ボナパルティズム」の限界) ーやがてロシアも分裂、解体するー 政敵暗殺に超小型核兵器たるポロニウムー対人地雷ならぬ対人核兵器ーさえ使用すると謂うロスケ・プーチン大統領の強権政治は、近年其の独裁性を強化させ、来年の大統領選挙でも憲法を改正させ再出馬するか、「院政」的間接支配を続けるものと予測される。 最大手石油資本たるユコスのホドロコフスキーをシベリアに流刑して同社を実質的に国有化し、反露的国際資本の国外追放を図り資源ナショナリズムを追求するプーチンは、北樺太でも日米資本に開発させた「サハリン二」の果実を適当な口実を設けて強奪独占しようとしている。 ウクライナ、白ロシア、グルジア等々周辺諸国へも資源外交や暗殺を伴う諜報活動を強圧的に展開し、間接的に旧蘇連邦の復活を目指して居るかにも見える。果たして、プーチンは旧蘇連邦の復活を目指し、蘇連邦共産党の一党独裁政体復権を望んでいるのであろうか。 其の答えは否である。KGB出身のプーチンは、基本的に軍人であり、軍出身官僚であって、党出身の其れでは無い。ナチス・ドイツでも国防軍とナチス党が常に対立関係に在った様に、蘇連邦下では支配者たる共産党官僚に対して現役軍人達は決して好感情は抱いて居なかった。其の性向はプーチンとて同様である。プーチンを支える組織は、空想的イデオロギーに基づく共産党では無く、実質的且つ具体的な政治支配手段として機能する軍隊と警察であり、現実主義者のプーチンは、不必要な政党の存在を軽視する。 ならば、其の力の源泉は何処に在るか。其れは圧倒的な国民の支持に在る。酔っ払い大 統領エリツィンが、自由化で流入した外貨を食い潰し、チェチェン制圧に失敗して、多くの国民に「ロシア連邦崩壊」の暗い予感を与えた時、エリツィンが無害な後継者として選んだ無名のKGB官僚たるプーチンは、「爪を隠した能ある鷹」であった。エリツィン保護を確約保証して残されたエリツィン勢力を相続し、チェチェン征伐に半ば成功して国民の人気を得たプーチンは、国民の人気に依って選挙で大統領に選ばれ、強固な軍隊、警察を利用して強権政治を行っている。此れは「フランス革命」後にナポレオンが、そして絶対王政復活、立憲王政移行、共和制復活後にナポレオン三世が行った「ボナパルティズム」と呼ばれる政治手法と軌を一にするものである。 コルシカ島出身、イタリア貧乏貴族末裔の「ナポリオーネ・ボォナパルテ」は、終生流暢にフランス語を話せず、官費に頼って入学した陸軍士官学校でも語学的欠陥から最下位に近い成績で卒業し、当時日陰者的地位の砲兵隊に配属された。だが、非凡な彼は砲兵の集中使用で内外の敵を打破し、国民の人気を得て国民投票の結果「皇帝」と成った。 「伯父の七光り」で皇帝と成ったナポレオン三世も同様の手法を採ったが、現在プーチンが進めている政治手法は、正に此の「ボナパルティズム」なのである。 其の背景にあるプーチンの思想、そして国民の感情や社会的潮流は、「ロシア・民族主義」とも呼称すべきものである。ゴーゴリの「タラス・ブーリバ」に見られるコサック的 尚武残虐な民族性が、秀才官僚プーチンの内面にも底流として脈打って居る。当然、所謂グローバル化と謂う欧米化には、本能的、反射的に反感を抱くプーチンは、一方でKGB的冷酷さとラスプーチン的狂信性をも併有している。我国土の四十五倍もの面積とチェチェンを初めとする数多くの少数民族を抱える多民族国家を短期間に強権支配するには、人並み外れた能力と強固な意志が必要とされる。現在のプーチンには其の必要な要素が具備されているが、多分世襲を行わないであろうプーチン後には、適切な後継者は現状では見当たらない。とすれば、連邦国家の常として、ロシア連邦は中核を失い、弛緩して崩壊に向かわざるを得ず、カフカス諸民族、ブリヤート・モンゴル等の自立化と朝鮮、漢民族の民族移動で所謂「極東」のロスケは孤立せざるを得ない。この時点に於て自立不能に成った「極東」ロスケが、保護、協力を懇請する相手国は、世界で最も温和、温厚な『日本』しか無いのである。 其の、歴史的には然程遠く無い未来史的時点が『北方領土』奪還の決定的且つ必然的瞬間と成るであろうが、其れ迄の一時期は、逆に対日攻撃、攻勢を強化させるであろう。 (斜陽化する「ワスピズム」) ー歴史の必然性は米国にも必ず現れるー 吾等日本民族に執って栄光の『大東亜戦争』末期、我等が神風特別攻撃に依って大破した米国航空母艦の一つに「ワスプ」が在った。 「ホワイト、アングロ・サクソン、プロテスタント」の米国三要素を合成、抽象化した此の語彙は、正に米国の本質を顕現している。 筆者は以前より。米国的価値観と行動原理を「ワスピズム」と呼んで居る。其はエリザベス一世以来の白人至上植民地主義とプロテスタンティズムに起因する資本主義が結合した歴史観、価値観であって、米国建国以前から「ワスプ」の基本理念、精神として継承されて来た。恰もローマ帝国の勢力拡大に伴いローマ法が地中海全域に伝播した様に、米国東部十三州の「ワスピズム」が、米国の侵略拡張に応じて北米大陸に拡散した。其の思潮は、米国独立とフランス革命に依って欧州大陸へも一定の影響を与えた。ワスピズムは、南北戦争と両次大戦を通じて若干の変化を見せたものの本質は変わって居ない。 「絶対神」の下で機会の「平等」と「利潤」追求の為の「自由」競争の保障、そして、其の「平等」と「自由」を人種的に優越した白人が主導、領導して全世界に広める。此の「自由」「平等」を目的とした「十字軍」的使命感が、所謂「朝鮮、ヴェトナム、湾岸」戦争等々での米国及び米国軍の基本理念であった。 だが、我有色人種たる日本民族の特攻機が米国空母「ワスプ」を痛撃した『大東亜戦争』を頂点として、「ワスピズム」の衰退が現在進行形てある。即ち、領土的には、昭和十八年の「フィリピン独立」(大統領ラウレル)以来、米国領土は増加していない。国際政治的には所謂冷戦終結後の「米国一極集中」等は「絵にかいた餅」に過ぎない。 経済的には、米国は「国際通貨発行益」と謂う「金の成る木」を保有しているものの、「金準備」は大幅に減少し、貿易赤字は、現在年間七千億ドル以上に達している。にも拘わらず、「第二次大西亜戦争(米国俗称「イラク戦争」)」の泥沼に嵌り込み、数千億ドルにも及ぶ戦費の増大で、米国財政は破綻に向かっている。 「ロシア・ボルシェヴズム」は、「私有制の否定」と謂う人間本来の本能的な所有欲、独占欲を否定した為に滅亡した。 米国「ワスピズム」も、理念と性格の双方に自己矛盾が有り、歴史的に然程遠く無い将来、米連邦崩壊の可能性が高い。無論、十年二十年単位の歴史的時間では有るが、僅か百六十年前にはメキシコ領土であったテキサスやキァリフォルニア等は、米連邦から離脱しても何等不思議では無い。唯、問題なのは、此の人類を滅亡に導く欧米近現代文明の最高度の発達体制たる「ワスピズム」が、全世界にに拡張、拡大し、各国が汚染され、其の被罹患国家、地域が、其の危険性、不当性を認識していない点にある。 特に、其の空虚且つ表面的な理論が、最も単純に流布、定着したのが、此のエセ「日本」社会である。米国が実質的解体を進展する段階でも猶、エセ「日本」は、米国化を進行させ続けるかも知れない。米国の与えた理念以外に主流とされる理念が顕在していないからである。無い訳では無い。六十二年前には確実に有ったのである。 ともあれ、「ワスピズム」の自己矛盾は、「自由」と「平等」と謂う全く背反する価値観を同時に固守している点に有る。即ち、平等の機会を設定しても「自由」に競争すれば、必ず能力差が発生して、結果は「不平等」と成る。「自由」は「不平等」を生み、「平等」は「不自由」を齎す。此の背反する理念と感情を調和させるには、宗教的自己抑制機能が必要と成るが、過去の米国に於てはピューリタン(清教徒)的厳格さが社会秩序を維持していた。だが、農村的地方的社会基盤が都市化の進展と共に変質し、今や宗教的制約が希薄と成り、「公民権運動」「ウーマン・リブ」「ジェンダー・フリー」等々の「逆差別」的価値観が米連邦の分権傾向や分離主義を助長している。曾て「KKK」の流れを汲むアラバマ州のウォーレス知事は「独立党」を結成したが、此の南部的分離主義のみならず、現在では非ワスプ的住民が過半数を占めるキァリフォルニアでは、ヒスパニック系、黒人系、韓国系、ヴェトナム系、等々が人口的にも増加し、社会的発言力を強めている。 最早「ワスプ帝国」としての「米連邦」は、斜陽化の一途を辿るのみである。 (『独立日本』を挟撃する米中) ー因果応報「中共」も然程長く無いー 近年、「普通の国」「戦後体制からの脱却」を目指す歴史的に当然且つ必然の動向が日本国内に高まり、「核武装論議」迄声高に語られる様に成った「日本」ー未だ々だ真正『日本』に回帰してはいないがーに対して、反日諸国の敵意と警戒感が急速に高まっている。 昭和二十四年成立以来「中日友好」のスローガンの下で徹底的な「反日攻撃」「反日宣伝」「反日内政干渉」「反日洗脳」を持続、継続、拡大させて来た、支那人に対する侵略者たる「中国共産党」一党支配下の自称「中華人民共和国」は、成立以前から「反日」を最大の目標にしていた。 一方、南北戦争より前から対日侵略を企画し、嘉永六年にペリーを対日恫喝に送り込んだ米国は、安政五年の下田条約で我国の主権の一部と膨大な金(大判、小判)を強奪した。以来、日露戦争の講和条約締結期を除いて、米国が『日本』の国益や国威に資した歴史的事実は殆ど無い。逆に、「東京、広島、長崎」三大「大虐殺」を始め無数の反日攻撃や加害行為を続けて来た。 斯る米中両国の対日共通目的は、「弱い日本」「主体性無き日本」の存続、持続、永続にある。此の目標は、七年近い占領期に所謂「日本国憲法(占領基本法)」以下の体制として基盤が形成され、六十年の歳月を経て、少なくとも表面的には定着化しているかに見える。 国際常識では有得ない「占領基本法」「第九条」ー一章一条で占領軍が最重要視したーを護れと喚く「九条の会」なるものが未だに生息していて、同条を「平和主義」等と学校狂育で強要、洗脳しているキチガイ国家「エセ日本」。「第九条」は好戦的な対日侵略確約条項以外の何物でも無い。独立主権国家が自国の主権の最も重要な国防権を放棄すると謂う史上稀な衆愚国家の自己否定条項を、恰も「善」であるかの様に洗脳した反日勢力は、日本民族の独立傾向と主権回復を恐れている。 (東亜大動乱の予兆は高まる) ーだが、日本民族に恐れるものは無いー 反日派が最も力点を置いて居る象徴的な問題が『靖国神社』攻撃である。靖国神社は護国の英霊を顕彰、慰霊する聖域であるから、当然『大東亜戦争』と独立主権国家たる『日本』を肯定する。 中共は、成立以前から反日国家であるので、対日攻撃の口実は何でも良いのであるが、『靖国神社』に眼を着けたのは流石だった。「日本」内部の反日勢力とも共謀して『靖国神社』の歴史観を反日化させる事に成功すれば、日本人は悉く精神文化的に奴隷化出来るのである。米国の靖国神社認識は、より余裕の有るものであったが、中共から使簇された売国政治屋「加藤某」等が、米国にご注進申上げて『靖国神社』攻撃の搦め手に米国を引擦り込んだ。 だが、米中等の露骨な反日圧力は、却って日本民族の独立意識を覚醒させる。吾等民族の尖衛は、更に積極的な民族独立への戦いを強化、昂揚させようではないか。既述の如く米国の斜陽化は可成深刻化し、「世界の工場」等と自称している中共も又、崩壊一歩手前に有る。一突きの効果的な攻撃が成されれば、一挙に中共経済は大混乱に陥るであろう。 党、政府、国民の多くが「金儲け」を唯一至上の目的としている中共で「バブル」が弾ければ、「上海の摩天楼」も「北京オリンピック」も総てが崩壊する。逆に平成二十年の「北京オリンピック」が失敗すれば、必ずバブルは崩壊する。中共の外交、内政は「瀬戸際」を歩んでいるのである。 所謂「エコノミック・アニマル日本」も覚悟すべきである。中共の崩壊は「日本」経済 にも多大な否定的影響を与える。「日本」は中共に対して千億ドルもの輸入超過であるから、一般的には損害は少ない筈だが、低廉な価格の日用雑貨、食料品、家庭電化製品等の輸入が不安定化すれば、当然物価上昇は避けられず、然も連鎖不況で不景気が到来し、所謂「不景気の物価高(スタグフレーション)」の再来が現出するかも知れない。一方、中共が溜め込んだ一兆ドルを超える「金、外貨準備」の動向次第では、米国ドルの通貨危機を招く可能性も高い。米国は、国際通貨発行益を利用して、則ち、米ドルを印刷するだけで、年間、対中共貿易で二千億ドル、対日本貿易で千億ドルの貿易赤字の穴埋めを行って来た。其の過剰なドルが米国に還流して米国国債購入に充当され、米国財政の破綻を免れるという、謂うならば「詐欺師的」「自転車操業的」国家経済財政運営を行って来たのだが、例えば中共が当座必要な資金充当の為に米国三十年ものの国債を大量に売却すれば、国際通貨たる米ドルの価値下落(ドル安)に起因するドル通貨不安が発生する可能性が高い。 米国の経済通貨危機は、自動車、半導体等の対米輸出に深刻な打撃を与え、企業倒産と大量の失業者を発生させる結果となるに違いない。だが、『日本民族的』歴史的視点と価値観から看れば、其の方が民族復興、人類存続に資するかも知れない。「金と物」「量と外観」「無機質と人工」で構成されている、則ち「産業革命」以来の欧米物質文明の支配する現下の「世界とエセ日本」を否定し、物質的には現在よりも充足率が低くても、精神的に『足るを知る』豊饒の農耕中心社会に回帰すれば、国民(くにたみ)の日常生活は、遥に心豊かで心楽しいものに成ろう。 |