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H17-8-29  吹田市立全小中学校校長に要請文



吹田市立         小中学校

校長殿

拝啓
残暑厳しき折、校長先生に置かれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。日ごろは吹田市の子ども達の健全育成にご尽力くださり、誠にありがとうございます。
私たちは吹田市の小中学校保護者、市民から成る「吹田市の公教育を考える会」です。この度、吹田市教委発行の「性教育副読本」に関し、是非とも各小中学校の校長先生方に、良識あるご判断をお願いいたしたく、現在までの経緯をお知らせさせていただきます。

ご承知のことと思いますが、昨年吹田市の過激性教育が全国的に取り上げられ、教育委員会発行の副読本に不適切な記述があると新聞、TV、雑誌等でも報じられました。
私達は、首相や文部科学省大臣、府教委までもが「不適切」と判断された副読本を、子どもの目に触れさせたくないと思い、早急な改訂をお願いし続けてまいりました。
椿原教育長も昨年秋、私達との話し合いの席でこの事実を認め、見直しの必要があると答えられ、私達はほっとしました。

ところがここでもう一つ重大な問題が発生しました。今回の過激性教育がこのような大問題化する前に、平成17年度分が予算化されていたこともあり、市教委は、「副読本」を不適切な部分を残したまま印刷しました。その後、過激性教育がマスコミでも取り上げられ、配布反対の声が大きくなると、市教委は急遽「検討委員会」なるものを設置し、6月末までの期限で、配布する、しないの検討を始めました。今年度4月に配布が見合わせられたのは、そのような背景があったからです。そして、6月末の検討期限は8月末までに延期されました。漏れ聞くところによりますと、検討委員会は配布するしないではなく、「配布を前提とした」検討をしているとのことです。
校長先生方におかれましては、新聞等で報道されましたので、教育長の見解や、副読本の内容、問題とされる箇所の記述もご承知のこととは思います。教育長自ら「首をかしげる記載がある」と言及され、市教委も「見直しが必要」とコメントを出しているにもかかわらず印刷済みの副読本は、印刷されていることを理由に印刷屋の倉庫で出荷を待っています。

中教審は、「学校における性教育は人間関係の理解やコミュニケーション能力の有無を前提に行われるべきで、安易に具体的な避妊方法の指導に走るべきではない」と指摘しています。ところがこれらの副読本には、小中学生の性行為は容認できないというような記述はどこにも見つかりません。それどころか吹田の子ども達は、「性交をする・しないは自分で決めることだよ」「性交はとてもすばらしいもの、とっておきのコミュニケーションだよ」「だけど望まない妊娠は絶対に避けなければいけないから避妊しなければダメだよ」と教えられるわけです。こういう論理で避妊も教える必要があるとの論法です。
昨年大騒ぎになった西山田中学のN教諭が行った、出産ビデオ上映の背景には、この副読本があったわけです。N教諭は「副読本に則って授業を進めた。」と私たちに何回も繰り返しました。西山田中学の松岡前校長は、最初はN教諭のこのとんでもない授業に「感動した! うちの学校のウリです。」などと到底教育者とは思えない発言を繰り返し、私達が今回の件を追求し大騒ぎになると「知らなかった」とうそぶき、この映画の試写会を行う段になっては、過激な部分をカットして証拠隠滅を図ったり、教委には同様に虚偽報告をしました。挙句の果てに、保護者への説明責任も果たさず「一身上の都合」で、職場放棄、責任放棄と申しますか、逃げ出したわけです。

国会、文科省、府教委、保護者等の批判だけでなく、市教委自らも問題を認めながらも、これらを全く無視し、敢えて副読本を配布しようとする市教委の目的はいったい何なのでしょうか?そこには「児童生徒の健全育成」を目指す「指導的立場」の顔を窺うことはできません。市教委の川西教育監はこの副読本の編集に最初から関わっていました。彼曰く、「この副読本を否定することは、自分達が進めてきた性教育・実績を否定することになるから、否定はできない。」と言われます。もしそれが配布する真の理由なら、その行為は全く子ども達を無視した川西教育監のエゴの権化でしかなく、子ども達は彼の犠牲と言わざるを得ません。

私達は副読本の内容全てを否定しているわけではありません。約10年前に改訂したように、再度改訂して、更に良いものにしてもらいたいだけなのです。そして、それまでの間、副読本の使用を見合わせてほしいのです。10代の性感染症、妊娠中絶・エイズが増え続ける今、学校で教えるべき性教育は、快楽の性をまだまだ心身ともに未発達な子ども達に教えることではなく、発達段階に応じた適切な性教育であり、性の重みやモラルをしっかりと身につけた人間に教育することだと思慮します。そして吹田市の性教育を全国でも手本にされるようなものにしていってほしいと切望いたします。

市教委によると8月末には副読本の検討結果が出ます。もしこの副読本が各学校に届けられた場合、実際に生徒に配布、活用するかどうかは各学校の校長の判断になります。私達は校長各位の良識を信じていますが、万が一「教委からの指示があったから」などという「御身大切」の理由で過激副読本を配布し、3万人の生徒、児童を犠牲にした場合、貴職の説明責任を問い、配布した理由を追及し、貴校の校区にその一部始終をチラシで公表いたします。

吹田市の性教育問題は、文部科学省・マスコミ・報道が注目しています。どうかその点をご理解の上、正しく良識あるご判断をお願い致します。
                                    敬 具

平成17年8月末日 吹田市の公教育を考える会
    090−3710−4815