日朝首脳会談結果に関する声明
 
 本日、小泉首相は平壌を訪問し、第二回日朝首脳会談が催されました。蓮池さん、地村さんのご家族5名の帰国は、喜ばしい歓迎すべき成果だと思います。しかし、何のために首相が北朝鮮に行ったのか、私たちにとっては到底納得のできるものではありません。
 まず、曽我ひとみさんのご家族の帰国実現に、小泉首相は果たして最大限の努力をされたのでしょうか? 北朝鮮と言う国は、最高指導者の一言が人民の意志になる国です。金正日は、小泉首相に「曽我さんのご主人と会って話をしてください。」と言ったようですが、ジェンキンスさんの話したことは全て北朝鮮当局が筋書きを作ったと思います。
 一年八ヶ月前、北朝鮮が「死亡、未入国」と発表した10名の安否に関しては何ら進展はなく今から再調査が始まるということです。「特定失踪者」に関しては一切言及されることもなかったようです。また、今回1000万ドルの医療支援だけではなく、25万トンのコメ支援を首相は約束されました。いくら「人道支援」と名を代えても、これは5名の身代金ではないのでしょうか? さらに、経済制裁を課さないことも約束したようです。日本は何の進展もないまま全てのカードを出しつくしたのではないでしょうか。
 北朝鮮にとっては、日本の最高責任者が再度訪朝し、「平壌宣言履行」のための会談を行い、支援を約束したことは、充分評価に値する結果を得たことになるのでしょう。ところが、我が国は、首相の再訪朝の最低課題だった8名の帰国実現もかなわない。歯軋りの極みと思慮します。
 首相には一国の最高責任者として、「主権国家としての原理原則」を貫抜き通して頂きたかったのに、非常に残念でなりません。拉致問題の全面解決を見るまでは、「国交正常化交渉」も先送りにすると言明し、「全ての日本人とその家族を即刻返せ」と要求を突きつけ、譲歩や妥協をすべきではなかったと思います。「平壌宣言に則り国交正常化」は、拉致問題の全面解決が大前提ではなかったのか、今一度首相に問いたいと思います。
 曽我さんのご家族を始め、安否不明の10名、数百名に及ぶ特定失踪者、すべての被害者とそのご家族を奪還するまで、私たちの闘いは終わりません。ここに改めて、全面解決の日まで決して諦めることなく、拉致被害者のご家族共々闘う意思であることを表明いたします。
 
平成十六年五月二十二日
北朝鮮に拉致された全ての日本人を奪還する会大阪(救う会大阪)
代表  朝生 万里子