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インド世界を読む和天皇
 
 最近ようやく日本でも、インドに対する関心が高まって参りました。私はインドの 重要性認識において我が国は十年ばかり遅れた(その遅れは、例えばインド家電市場における韓国製品の圧倒的な優位に示されている)と考えていますが、ようやく現実 のインドに目が向き始めたことは悪いことではないと思います。もっとも現在の関心は経済に偏りすぎており、バランスのとれた認識には、まだほど遠いものがあります。
  十月末から一ヶ月ばかり、企業人の視察団に同行したり、首都のネルー大学で行わ れた日印関係セミナーに出席したりして帰国したところですが、インド象はいくつか問題を抱えながらも、一九六〇年代の日本のように、「坂の上の雲」を目指して、二十一世紀の大国になるべく猛然と元気印で走り出しています。
 この三月大学の専任を辞していくらか時間的余裕が出来たのを活用して、暑さの中をフーフー言いながら現代インドに関する概説書を書き上げました。私はインドだけを研究対象とする地域研究者ではありませんから、従来のインド本とは異なる視点や概念をもってこの複雑な多面体に取り組んでおります。現代インドの理解を深め、日本のアジア政策を捉え直す上で、何かご参考になるところがあれば幸いです。
 向寒の砌、ご自愛を念じあげます。


日印友好協会会長 大阪国際大学名誉教授  岡本幸治